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北風の軍師たち

書名:北風の軍師たち(上)
著者:中村 彰彦
発行所:中央公論新社
発行年月日:2006/7/10
ページ:268頁
定価:1700円+税

書名:北風の軍師たち(下)
著者:中村 彰彦
発行所:中央公論新社
発行年月日:2006/7/10
ページ:302頁
定価:1700円+税

天保11年(1840年)に幕府が三方所替え(庄内藩→長岡藩、長岡藩→川越藩、川越藩→庄内藩の国替え)を発令した。これは川越松平家が名門とはいえ台所は火の車であった。豊かな庄内藩への配置換えを願い出た。そこには伏線があって将軍徳川家斉の第五十二子二十五男の紀五郎を養子に欲しいと老中筆頭水野忠邦を通じて川越藩の松平斉典が申し入れた。その後紀五郎の生母、大奥、関係者を通じて家斉を動かして三方所替えが発令された。

庄内藩酒井家は同地で200年も続く名門、表高十四万石ながら、内高十九万石、豪商の本間家もあり裕福な庄内藩。庄内藩にとっては迷惑な話。一度決まった幕命は覆ることがないのが今までの慣例。それを覆す騒動を描いている。庄内藩内の領民が領主が変わると困ると言って江戸に陳情にいく。今まで領主を移動させないでと陳情した藩はどこにもなかった。老中筆頭・水野忠邦と反対する硬骨の南町奉行・矢部定謙の対決を頂点とする騒動を描いたもの。