書名:求天記 宮本武蔵正伝
著者:加藤 廣
発行所:新潮社
発行年月日:2010/5/25
ページ:456頁
定価:2000円+税
佐々木小次郎と巌流島での戦いから物語は進行する。吉川英治の宮本武蔵は物語として面白い読み物ですが、この本は少し毛色が違っています。佐々木小次郎が切支丹、妻は細川ガラシャ夫人(明智光秀の娘)の侍女でこちらも切支丹。徳川幕府の切支丹禁止対策に苦慮した細川家が、剣法指南役の佐々木小次郎を亡き者にしたいが為に宮本武蔵と戦わせる。武蔵には剣法指南役に召し抱えるという餌を与えて、巌流島で戦わせる。佐々木小次郎は真剣での戦いは嫌っていた。でも真剣で勝負ということになった。
しかし宮本武蔵は物干し竿と言われる長剣と戦うには船の櫂で作った木刀で戦った。木刀での一撃だったので、佐々木小次郎は怪我のみだったが細川家の侍達に殺されてしまった。というストーリー。巌流島の戦い以降の武蔵の生涯を描いている。また秀忠の子どもとされている家光は実は乳母お福と徳川家康の子どもだった。従って忠長を三代にと願う、お江、秀忠、忠長派の反対を押し切ってお福が家康に直談判をして三代には家光が決まった。加藤廣の視点で物語を面白くしている。大阪冬の陣に参加した宮本武蔵と真田幸村の出会いなども面白い。遅れてきた剣士宮本武蔵の後年を描いている。