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赤いダイヤ

書名:赤いダイヤ(上)
著者:梶山 秀之
発行所:バンローリング
発行年月日:2005/1/5
ページ:477頁
定価:1000円+税

書名:赤いダイヤ(下)
著者:梶山 秀之
発行所:バンローリング
発行年月日:2005/1/5
ページ:516頁
定価:1000円+税

1975年5月45歳で亡くなった梶山秀之の代表作。傑作長編経済小説。スポニチの連載小説(1961年)の復刻版。昭和29年~33年を舞台に、先物取引の小豆相場を題材とした小説。「赤いダイヤ」とは変動が大きい小豆相場(先物取引)。ブローカーなどの商売を行っていた木塚慶太は商売に失敗し千葉茂原の海岸で自殺を図る。そこで出会った森玄に命を救われた。森玄は希代の相場師。小豆は産地北海道の冷害凶作により相場が高騰し、投機の対象としてプロの相場師ばかりではなく、素人衆が一攫千金を夢見て相場に「パチンコ店主」、「小唄の師匠」「芸者」「主婦」などといったにわか投資家までが参入した大過熱ぶりだった。「買い」を徹底している森玄こと森玄一郎と相場の神様の異名をとる松辰こと松崎辰治、売り崩しを得意とする。穀物取引所の理事長を務めていた。森玄の買いと松辰の手に汗握る攻防戦にちょうちん衆を含めて熱き戦いが行われる。松辰は穀物取引所の理事長の職権を乱用して「証拠金の増額」「建て玉制限」「北海道産小豆以外の小豆も認める林寺処理」など次々と買い手に不利な条件を提示していく。これに森玄が果敢に挑む。
獅子文六「大番」という作品を彷彿させる「赤いダイヤ」なかなか面白かった。