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乱世疾走

書名:乱世疾走
著者:海道 龍一朗
発行所:実業之日本社
発行年月日:2004/12/15
ページ:567頁
定価:1900円+税

時は群雄割拠の戦国時代。正親天皇の命を受け、公家の立入宗継と山科言継の二人は、信長の動きを朝廷へ伝える諜報組織禁中御庭者の構想を練り、京で道場を開く新陰流開祖上泉信綱に相談する。上泉信綱は南都の宝蔵院流槍術の開祖胤榮と柳生宗厳、堺の会号衆の一人楠葉西安に図り5人の若者がを集める。集められた5人は兵法家、商人、修験僧、香道師、女剣士。「禁中御庭者」として織田信長の動向を探らんと天下統一を狙う信長を追って北へ、東へ走り回る。強烈な個性の持ち主の5人が帝の目となり、耳となって乱れた世を探るうちに、段々と仲間として一致しながら難局に対応していく痛快長編歴史小説。六角氏の放った甲賀者、北畠氏の伊賀者、武田氏の透破(すっぱ)、上杉氏の軒猿(けんえん)、北条氏の風魔、毛利氏の外聞(どざま)なども登場し、それぞれ互いに諜報活動を邪魔したり、協力したりしながら天下はどこに向かうか?を探索する。戦国時代の裏の動きを正史の狭間に「禁中御庭者」を配置している。なかなか面白い物語展開です。