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平将門 射止めよ武者の天下

書名:平将門 射止めよ武者の天下
著者:高橋 直樹
発行所:角川春樹事務所
発行年月日:2002/11/18
ページ:541頁
定価:2600円+税

平安時代の終わり、律令制度中で京都の貴族中心の日本統治にほころびが出てきた。坂東の地では圧倒的な力を背景として、武士の国を作ろうとする勢力が台頭してきていた。また四国でも藤原純友が反乱ののろしを上げていた。平良将の第三子として生まれた。平小次郎将門、京都の朝廷の下級官史として上京するが、既存の貴族社会、固定された身分に理想に燃えた青年将門は大いなる挫折を味わう。

また板東の地に帰って来ても、良将亡き後の私利私欲に埋もれた一族の争いだった。都への租税は納める必要はない、板東の富は板東の発展に使うべきだと平将門は立ち上がった。板東の地に武者の国を作ろうとする将門。朝廷の力を借りて官位を得るために将門を討とうとする貞盛。従兄弟同士の戦い。
一時は板東八ヵ国の国司を追放した将門であったが。「人の一生は五十歳、七十歳。公は五百歳千歳」既存の権威、制度の改革はなし難し、これに挑んだ将門、出て来るのが早すぎた人生かも。でも誰かが一歩を踏み出さないといけなかったのかもしれない。海音寺潮五郎の「平将門」吉川英治の「平の将門」も面白いが、高橋直樹もまた面白い。