書名:衆愚の時代
著者:楡 周平
発行所:新潮社
発行年月日:2010/3/20
ページ:191頁
定価:680円+税
ちょっと衝撃的な書ですが、深さは足りない感じもう少し分かりやすく説明した方が誤解を受けないのではないか。
「派遣斬りはいけない」「正規雇用を増やせ」「値上げで消費者に打撃」・・・マスコミは、企業が雇用者や消費者を踏みつけにして不当に大儲けしているような報道をする。でも実体は違う。こんなことは少し企業に勤めたことがある人なら当たり前の常識でも誰もそれは黙っている。
知っているけれど黙っている。それを良いことにマスコミ、テレビは自分たちの視点からが正しい、正義とばかりに声高に叫んでいる。「弱者の視点」にたって物事を考えるという欺瞞。そんなことをしていたら正常な経済生活、社会生活は実現できない。社会が安定する立場が第一、それがあって始めて「弱者の視点」ということが考えられる。子どもは大切だ、でも子どもは大人が考えているほどバカじゃない。
大人よりも柔軟に考え行動できる。普通に真面目に働いて退職した人が落ち着いて暮らせない社会は間違っていると著者は訴えている。マスコミの特異な事例を普遍的なものだと偽善的言説を鵜呑みにしない。普通の常識的な自立した大人なら当たり前に持っている視点で書かれているように思う。最後の方は政権交代した民主とのマニフェストについても辛辣な批判をしている。
本書カバーより
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いつの間にか、この国は偽善的言説が「正論」になってしまった。負担は先送りして「国民のみなさま」にバラマキを約する政治家、セレブ生活を棚に上げて「CO2」削減を訴えるテレビキャスター、「誰もが望んだ仕事につける社会を」と空論を述べる新聞記者。誰も本当のことを言わないのなら私が言おう、社会人なら心得ておくべき「当然の常識」を。思わず溜飲が下がる、愚衆の時代への徹槌