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おそろし 三島屋変調百物語事始

書名:おそろし 三島屋変調百物語事始
著者:宮部 みゆき
発行所:角川書店
発行年月日:2008/7/31
ページ:429頁
定価:1700円+税

川崎宿で旅籠を営む実家で起きたある事件をきっかけに、17歳の「おちか」は他人家族にも固くこころを閉ざしてしまう。「おちか」は江戸・神田・三島町の叔父・伊兵衛が店を構える。その袋物屋「三島屋」に身を寄せ、黙々と三島屋の仕事をこなしながら日々を過ごしていた。ある日伊兵衛は人を招き入れて、礼金を払って百物語、つまり怪談話の聞き手になるように「おちか」に言いつける。「おちか」には人に語れない、ある悲しい過去があった。

小説というより語りという感じで「語り手」と「聞き手」のやり取りが新鮮だ。物語の構成も面白い。段々「おきか」の人に語れない秘密があらわになってくる。江戸の町人の暮らし向き、江戸の情緒が漂ってくる物語。宮部みゆきという語り部が語る。小説をひとつの舞台にして語り口に比重を重くし、登場人物の内面を吐き出させていく。久々の宮部みゆき作品を面白く読んだ。