書名:TPP亡国論
著者:中野 剛志
発行所:集英社
発行年月日:2011/3/22
ページ:254頁
定価:760円+税
突然現れたTPP議論、誰もよく分かっていないのに「バスに乗り遅れるな?」だけで進んでいる風潮に貴重な警告を与えてくれる。まず読んでみてTPPとは何かをしっかりつかんでから考えても良い問題だと思う。先日日下公人さんもあるテレビで、「TPPなんてほっておいたらいい」と言っていました。TPP(環太平洋経済連携協定)と字面だけを見ると凄い協定のように見えるが、参加している国の経済規模と言えばゴミのようなもの。アメリカと日本が参加したとするとその2国だけで90%以上になってしまう。日米経済協定のこと。
いままでも日米で貿易摩擦があってそのたび毎に門戸を開放してきた。アメリカは日本に輸出を拡大することを目的にしている。またTPP参加している国のいずれも自国の輸入を増やそうなんていう国はない。そこに日本が入っていけば「ネギをしょった鴨」にされるだけ。日本にメリットはなにもない。グローバルに展開してるトヨタなどは日本経済のことを考えて企業行動はしていない。多国籍企業になればなるほど、自国のことより自社のことが最優先。
デフレの時に市場を開放する、グローバル、関税をなくするというのは愚策(歴史が教えている)益々値下げ競争ばかりに走る。鎖国とは言わないが、守るべきは守る姿勢が必要。関税の問題より、円高が少し進むだけで関税分は無くなってしまう。中国がいままで成長できたのは自国通貨を元を高くしなかった。(実力以上に元安を誘導してきた)ところが日本はどんどん円高基調を止めることができなかった。TPPに参加しても円安になる可能性はない。
TPP議論を通じて現代の日本の置かれている状況を分析して戦略的な方策を述べている。政府、日銀などの比べてずっと説得力があると思う。
本書カバーより
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TPP(環太平洋経済連携協定)参加の方針を突如打ち出し、「平成の開国を!」と宣伝した民主党政権。そして賛成一色に染まったマス・メディア。しかし、TPPの実態は日本の市場を米国に差し出すだけのもの。自由貿易で輸出が増えるどころか、デフレの深刻化を招き、雇用の悪化など日本経済の根幹を揺るがしかねない危険性の方が大きいのだ。
いち早くTPP反対論を展開してきた経済思想家がロジカルに国益を考え、真に戦略的な経済外交を提唱する。