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雷神の筒

書名:雷神の筒
著者:山本 兼一
発行所:集英社
発行年月日:2006/11/30
ページ:373頁
定価:1800円+税

1543年(天文12年)、種子島に漂着した中国船に乗っていたポルトガル人が伝えたといわれる火縄銃。鉄砲製造技術は短期間のうちに各地に広まり、日本の戦いに革命を起こす。尾張の織田信長臣下、鉄砲頭橋本一巴(いっぱ)はいち早くその威力に気づき、高価な鉄砲を購入する。そして配下を鉄砲隊に仕上げていく。天下に登りつめようとする織田信長を支える鉄炮隊、その鉄炮隊を率いる男の一生を描いた作品。それは日本の戦い方の変遷の歴史を追っていく感じもする。

鉄砲頭橋本一巴は鉄砲を持って強くなって、「戦わないで戦争に勝つ」そして民百姓が平和な世の中が来ると信じて信長の天下取りに走り回るが、鉄砲隊が強くなればなるほど、他の武将もまた強い鉄砲を。この矛盾に気づきながら流されていく。それを時代の渦と表現している。その渦に巻き込まれた戦国大名達を描いている。