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本に出会う

はぐれ牡丹

書名:はぐれ牡丹
著者:山本 一力
発行所:角川春樹事務所
発行年月日:2002/3/8
ページ:254頁
定価:1600円+税

両替商のひとり娘として育った「一乃」が父親に勘当され、惚れた男と所帯を持つために家を飛び出し、深川の裏店に暮らしている。寺子屋の師匠をしている夫の「鉄幹」と四歳になるひとり息子の「幹太郎」と一緒に暮らしている。長屋の人達とも上手くつきあいながら野菜の担ぎ売りをして慎ましく暮らしていた。そんなある日その「一乃」が野菜の仕入れ先である農家の竹藪で竹の子掘りの途中で一分金を拾う。両替商の娘であった「一乃」は、それ見た瞬間、一分金にしては少し違うと感じる。それを疎遠になっていた父親に、あえて調べてもらう。それは精巧に作られた偽金だった。

「一乃」が持ち前の明るさと機転、直感力の鋭さや気っぷの良さを発揮して、江戸幕府の貨幣改鋳に絡む偽金作り、詐欺事件に引きづり混まれてしまう。「一乃と鉄幹」と下町の人達の人と人の繋がりが事件を解決する。なかなか面白い作品です。