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人種差別の帝国

書名:人種差別の帝国
   アメリカ人の醜い「白人至上主義」日本人のおぞましい「外国人差別」 
著者:矢部 武
発行所:光文社
発行年月日:2004/10/30
ページ:312頁
定価:952円+税

米国人の日常生活から職場、司法現場、環境分野、黒人社会やアジア系社会、メディア関係、ハリウッド映画産業界などで、今でも差別を続ける白人たちを実態を取材しながら、白人たちの本音に迫り、白人至上社会アメリカの現状、実態を探りながら、アメリカのゆくへを探るレポートです。また日本の人種差別問題についても取り上げている。

2040年代になると有色人種の人口増加で白人の多数支配を失うとされるなか白人たちは少数派になる不安におののき、白人文化中心主義を維持しようと躍起になっている。米国での人種差別というと、主として欧州系(白人)vsアフリカ系(黒人)という図式で語られてきたが、アジア系、ヒスパニック系、アラブ系に対する差別意識と差別的制度や歴史的事実(戦時日系人強制収容所等)は私たち日本人にとっても卑近な問題であり、米国への幻滅を感じる部分だ。

白人の誰しも触れたくない、語りたくない問題を執拗に、根気強く取材して、目に見えない差別の実態を勇気のあるレポートである。そしてアメリカの人種差別の問題は実は日本の外国人差別にも同様に横たわっていることを鋭く指摘している。アメリカは病んでいる。そしてこの日本も。ちょっと気になる一冊です。