書名:獅子の系譜
著者:津本 陽
発行所:文藝春秋
発行年月日:2007/10/30
ページ:408頁
定価:1619円+税
直政伝記『井伊軍志』(宮帯出版社)を定本として、徳川家康、井伊直政主従を通して戦国時代の様々な場面を描いている。主役はどうも徳川家康らしい。史実に沿った記述はそれなりに評価できるが、物語としてはイマイチ。特に人物描写、風景描写、心理描写などは殆どない。史実を淡々と並べた感じで読みづらい。話が場面場面で途切れてしまう。津本陽の小説には多い描き方です。ちょっと気合いをいれて読まないと筋が判らなくなってしまう。歴史を知るという意味では良い本だと思います。
12世紀から遠江井伊谷を領してきた井伊家、今川義元に、また井伊家の領地を狙う奸臣にも狙われ続け、一族の多くが謀殺されて一族が衰退のとき生まれた直政。その生い立ちはよく分かっていない。桶狭間の合戦を機に今川家から独立した徳川家康の小姓として仕官する。家康は武田家との内通を疑われ自刃した嫡男信康と直政の姿を重ね合わせるようになり、直政に目をかけるようになる。その家康の期待に応えて勇猛果敢にして智謀にも優れ、徳川家臣団の中でも最強の武将と成長していく。徳川四天王(酒井忠次・本多忠勝・榊原康政・井伊直政)のひとり、その中でも最強と言われた。武田の遺臣を多く採用して「赤備え」でも有名。関ヶ原の戦いで負傷した傷が元で亡くなってしまう。