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帝銀村の殺人

書名:帝銀村の殺人
著者:篠田秀幸
発行所:角川春樹事務所
発行日:2002/8/8
定価:1333円+税

戦後に起こった帝銀事件の真実を説こうという意欲的な作品。ベースに帝銀事件、青酸カリ系の毒物で銀行員が毒殺された。毒物の謎に迫る。即効性の青酸カリ系、でも事件は遅速性の毒物、陸軍の731部隊関係者、登戸の陸軍の研究所関係者を毒物からの犯人捜し、GHQがらみの関連からの考察、犯人として死刑判決を受けた平沢死刑囚の当時の行動の分析などなかなか確信をついているところがある。また事件の再現ドキュメントを制作中に同じように12名の毒殺事件の発生。横溝正史の「悪魔が来たりて笛を吹く」、「本陣殺人事件」のストリーもどき展開。展開が早いのでついつい読んでしまう。また篠田秀幸の特長ですが後半に「読者への挑戦状」としてその後の展開を自分で考えて下さいというところが出て来る。作者の読書量を彷彿とさせる作品が多い。(過去の推理小説など、作品中に随所に出て来る)