書名:湿地帯
著者:宮尾 登美子
発行所:新潮社
発行年月日:2007/8/25
ページ:330頁
定価:1900円+税
この本は著者が昭和39年頃高知新聞に初めての連載小説として発表された作品。43年間眠り続けていた作品を本にして出版したものです。著者の宮尾登美子も自分としては恥ずかしい作品と後書きにも書いています。とはいえ宮尾登美子の特長は荒削りながらよく出ている作品ではないかと思います。高知を舞台にしたミステリー恋愛小説、著者にしては珍しい作品
東京の国立衛生研究所から高知県薬事局課長に転任が決まった小杉は、ふるさとの宇和島を経由して高知に向かう途中のバスで美貌の謎の女と出会う。何となく引かれながら高知駅に。そこには薬屋を営む明神瑞代が小杉を迎えの旗を立てて待っていた。強引に明神瑞代は小杉を接待に連れ回す。何が何だか判らない小杉。
小杉と別れた後明神瑞代は死体で発見された。毒物を飲んでいたとのこと。自殺他殺の両面から捜査が始まった。
薬小売業者組合の幹部達が、薬価統一を図ろうと県薬事局、県会議員などを巻き込んだ陰謀が進行中のところに小杉は赴任してきた。薬小売業者組合から脱退しひとり従来の方法とは違う方で薬を安く売ろうと努力していた明神瑞代は死んだ。
ある日、陶器を見に有る窯元を訪れた小杉はそこで美貌の謎の女と出会う。
薬小売業者組合の幹部達のやり方に義憤を感じ、彼らにひとり立ち向かう小杉、また道ならぬ恋愛の渦に巻き込まれていく。推理小説とも言えないし恋愛小説とも言えないそんな感じの作品です。