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火怨 北の燿星アテルイ

書名:火怨(上)
   北の燿星アテルイ
著者:高橋 克彦
発行所:講談社
発行年月日:2002/10/15
ページ:494頁
定価:762円+税

書名:火怨(下)
   北の燿星アテルイ
著者:高橋 克彦
発行所:講談社
発行年月日:2002/10/15
ページ:555頁
定価:781円+税

蝦夷の平和な暮らしと風土(陸奥)を守るために朝廷軍と戦った東北の英雄アテルイの物語です。高橋克彦の作品では後から出版された1.風の陣(立志篇)、2.風の陣(大望篇)、3.風の陣(天命篇)、4.風の陣(風雲篇)、5.風の陣(裂心篇)の次の時代の物語で、
蝦夷は人間ではない。獣扱い。たまたま金が出た時期だった。蝦夷には金には何の価値も見出していなかった。金を奪うため、また京都遷都のために蝦夷を征伐をして民の注目を集めるために理不尽な戦を仕掛けてきた。我慢に我慢を重ねて来た蝦夷たち。

蝦夷の雄・伊治鮮麻呂がついに決起し、陸奥守紀広純、と道嶋大楯を滅ぼしてしまった。その後東北ではアテルイが、朝廷軍では坂上苅田麻呂の息子田村麻呂が。正史ではアテルイの乱と呼ばれているが、蝦夷は一度も自ら攻撃を仕掛けたことはなかった。全て朝廷軍が一方的に攻めてきた。それをことごとく兵の訓練、計略を用いてアテルイは圧倒的に勝ってしまった。何度も圧勝。でもそれには朝廷軍の動員人数が増えるばかりいつまでたっても戦いは終わらない。

坂上田村麻呂はいままでの将軍とは違って蝦夷を人と認めていた。アテルイも田村麻呂という武人に敬慕の念を抱いてた。戦を終わりにするためにとったアテルイの必死の計略、当初判らなかった坂上田村麻呂も途中でアテルイの計略を粋に感じて、騙されたふりをする。
このあたりは武士道に通じるところがある。読み始めると次々と興味をそそられて思わず終わりまで読まずにおられない。なかなか面白い作品です。