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ひとは化けもん われも化けもん

書名:ひとは化けもん われも化けもん
著者:山本 音也
発行所:文藝春秋
発行年月日:2002/6/15
ページ:246頁
定価:1429円+税

第九回松本清張賞受賞作品。井原西鶴が主人公。松尾芭蕉のように俳諧師を目指していた西鶴は俳諧では全く目がでない。妻と子どもを食べさせることすら出来ない極貧に喘いでいた。生きるが為に草子をと版元は幾度も幾度も進めるが、「草子なんか」と軽蔑して断ってしまう。
しかしどうしようもなくなって「好色一代男」をぐずぐず言いながら長い間をかけて書く。
それが出版されると一気に売れる。そして生活は何とかできるようになった。そこでもう二度と草子は書くまいと断る。そして代作者に書かせることにする。がやっぱり出来上がったものを見るととても世に出せる物ではない。自分で大幅に手直しをする。

それでもやっぱり俳諧師として今一度花を咲かせたいという夢は終わることがなかった。売れっ子作家になっても自分のやりたいことはいつまでも忘れない。そんな西鶴が描かれている。方言(おおさか)混じりの文章でなかなか味わい深いものがある。一押しの作品だと思う。