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日輪を狙う者

書名:日輪を狙う者
著者:高橋 直樹
発行所:中央公論社
発行年月日:1996/7/25
ページ:315頁
定価:1748円+税

徳川家康が今川義元が倒れてから、三河を治めようとした矢先三河一向一揆に悩まされていた。そんな一揆勢を攻めているときに徳川の旗本松平金助は背に傷を受けて打たれてしまう。背に傷を受けるという「後ろ傷」は当時の武士としては大変不名誉なこと。そのため松平金助の所領も役職も没収されてしまう。残されたのは妻と3人の子供。長男は元服していたが、次男以下は幼子。長男が父に後ろ傷を負わせた蜂谷半之じょうに敵討ちをして返り討ちに遭ってしまう。そして蜂谷半之じょうは残された弟達を生かしておくと禍根を残すということで松平金助の屋敷に攻めてきた。あわてて次男マサはあわてて弟(生まれて間もない)を抱えて遁走する。
そして蜂谷半之じょうは次の戦であっけなく亡くなってしまう。

マサは山伏になって修行を続ける。幼子は百姓の家族に育てられる。そして自分たちの運命をこんなにしたのは「徳川家康」と世の恨みを全て家康を仇と思い込んだ孤児二人が二十年後、隠然たる力を持つ山伏、弟ははぐれ山賊となっていた。でも武士の世界に舞い戻る夢だけは捨てていなかった。そんなとき、本能寺の変によって織田信長が倒れ、徳川家康は堺見物、そこから甲賀、伊賀をこえて、この兄弟の前に現れる。徳川家康の有名な「伊賀越え」にヒントにひとつの物語を作っている。歴史娯楽小説です。ここでは服部半蔵など忍者としてはまったく頼りない一人として描かれています。高橋直樹の語り部の世界に遊べる作品です。