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森のなかの海

書名:森のなかの海(上)
著者:宮本 輝
発行所:光文社
発行年月日:2001/6/30
ページ:390頁
定価:1600円+税

書名:森のなかの海(下)
著者:宮本 輝
発行所:光文社
発行年月日:2001/6/30
ページ:383頁
定価:1600円+税

1995年1月17日5時46分―阪神・淡路大震災が奪った。その日36歳の仙田希美子も神戸で大震災にあった。自宅前で隣の奥さんが神社の鳥居に押し潰されて死んでいた。周囲では沢山の家も壊れ助けを待っているのに、夫は大阪の友人宅へ早く避難しようと2人で歩いて友人宅まで向かう。仙田希美子は何か大きな忘れものを残してきた気分を残しながら友人宅へ着いた。夫は職場の様子を確かめてくるとあわてて出掛けていった。後で判ったことだが、夫は愛人の元へ行っていた。阪神・淡路大震災のショックと愛人の存在で2重のショックを受けるが、やがて夫と離婚することになった。姑も愛人の存在を認めていた。

同時期、奥飛騨の老婦人の危篤の知らせが入る。この老人とは奥飛騨に学生時代旅行に行ったときに世話になった人。その後連絡を取りながら行き来していた人。そして奥飛騨に見舞いに駆け付けた仙田希美子に老婦人毛利カナ江から奥飛騨の宏大な森と山荘を相続することになった。そこで2人の息子と移り住むことを決断する。
そこに震災で孤児になった三姉妹。そしてその三姉妹を頼ってきた7人の女の子達との共同生活を始める。

この小説には阪神・淡路大震災の政府の対応について、いろいろ愚痴が登場人物を通して入っている。今回の東日本大震災の対応と比べて読むと今の方がもっと愚痴が出て来るのではないかと思う。