書名:幽霊人命救助隊
著者:高野 和明
発行所:文藝春秋
発行年月日:2004/4/10
ページ:451頁
定価:1600円+税
東大受験に2度失敗した浪人生高岡裕一は奇妙な断崖の上で三人の男女に出会った。年老いた元やくざ、気弱な中年男、アンニュイな若い女性。そんなところへ白髪の老人が空から現れる。その老人は自ら「神」だと名乗る。ここにいる男女は自殺したが天国にいけずに、断崖絶壁の上に何年も取り残されたままだった。神は天国行きの条件として下界の自殺志願者100名の命を救うことを命じた。自殺したこの四人は中途半端な幽霊だったのだ。
この四人組が地上に降りてきて、自殺志願者、その周りにいる人々のこころの中を探り、意識に呼びかけること。しかできないが、深刻な自殺志願者の内面に深く飛び込んで、志願者から自殺願望、行動を除いていく。そんな重いテーマ。でも四人の個性がユーモラス、コミカルなやりとりで明るく描いている。
絶対絶命に陥ってすぐに未来を自分の思い込みで悲観的に考えてしまう自殺願望者に「未来が定まっていない以上、すべての絶望は勘違いである」そんなささやきが意欲をもたらす。そんな例が一杯。心理学の見本のような物語でもある。彼ら四人の怒濤の救助活動49日以内に100人の命を救えるか?