記事一覧

本に出会う

失われた九州王朝 天皇家以前の古代史

書名:失われた九州王朝 天皇家以前の古代史
著者:古田 武彦
発行所:ミルネヴァ書房
発行年月日:2010/2/23
ページ:559頁
定価:2800円+税

紀元前から七世紀まで倭国と呼ばれて中国と通好していたのは卑弥呼以降も連綿と続いていた九州王朝だった。万世一系の大和天皇家を信じ込まされていた人々には脅威の「失われた九州王朝」。日本書紀、古事記は天武天皇の時代に編纂され大和天皇家の正当性を主眼に編集された書物。そして矛盾がいっぱい。その意図とは、古代の日本の歴史を古田氏の違った視点で見つめ直す鋭い眼力に驚愕する。いままで誰も考えなかった視点、でも正規の学会からは無視続けられてきた古田歴史学。
ダイナミックな歴史の躍動を感じさせてくれる。細部に拘った批判などもあるかもしれないが、素直な目でもう一度古代史を見つめさせてくれる良書だと思う。日本書紀、古事記などの古書を現代の眼で読むのではなく、その時点の読み方を示唆してくれる。書いてあるとおり素直に理解しようと細心の注意をしながら努めている。勝手に間違いだから訂正するとか、勘違い等で誤ったなどそんな言い訳は出てこない。古田以前は本居宣長を初め、いろいろな歴史学者の繰り返されてきた勝手な解釈、訂正、誤記を日本書紀、古事記真面目に読み解きながら大和天皇家の歴史に、九州王朝の事蹟が意図して紛れ込ましてある。天武天皇か藤原不比等か、誰が天皇家の目的、意図を潜り込ませたのか?大歴史ロマンを感じさせてくれる。