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柴田錬三郎選集6 剣鬼

書名:柴田錬三郎選集6 剣鬼
著者:柴田錬三郎
発行所:集英社
発行日:2000/08/10
定価:3107円+税

あまり有名ではない剣士を取り上げた作品、柴田錬三郎の原点になる作品が多い。博徒の「会津の小鉄」、平手造酒、宮本無三四(1,2が無くて3,4)、塚原彦六(塚原卜伝の三男)、大峰の善鬼(伊藤一刀斎の弟子)など25編が集められている。
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「剣の神髄は、おのれの心身を、生死の場に置くことにある。人間にとってこれほど、凄絶な瞬間はない。だから剣の奥義をきわめた兵法者はいかなる時も、恐怖というものをおぼえぬ。私の知る限り、剣の神髄を知り、その奥義をきわめるために、生涯を斯道ひとすじにつらぬいた者の存在は、日本以外に見当たらない。もとより、剣そのものは、凶器であり、一歩踏み外せば、この修業した者は地獄の世界に身をいれることになる。」本書より
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後世に名を残した人々よりも、名も知れず去っていった人々に焦点を当てているところに面白さがある。柴田作品の根底にこの視点があるように思う。25編どれをとっても眠狂四郎、宮本武蔵などにも共通の視点を感じる。ようやく手に入る柴田錬三郎選集を読み終わった。どれも心に作品が多かった。