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古代は沈黙せず

書名:古代は沈黙せず
著者:古田 武彦
発行所:ミネルヴァ書房
発行年月日:2012/1/10
ページ:416頁
定価:2800円+税

出雲風土記、法華義疏、そして金印・・・。現代に残された第一級史料を古田武彦視点で科学的に調査、分析、解読しながら古代の日本を明らかにしていく力作です。
【日出処天子至書日没処天子無恙云々】(日出処の天子、書を没する処の天子に致す。つつがなきや…)は聖徳太子の事蹟とされていますが、本当は?

法隆寺の再建説(法隆寺は1度焼けている、その後再建された)、釈迦三尊像の光背の銘文の謎を解いていくことに寄って見えてくる九州王朝。白村江敗戦(九州王朝が戦った)によって急速に衰えていって700年頃九州王朝は滅亡。700年頃まで近畿天皇家と九州王朝の並立状態が続いていて天武天皇の頃に近畿天皇家としてようやく日本を統一した。また近畿天皇家は九州王朝の後継ではなく、九州の弱小の一族が大和に進出して建てたという説。

日本書紀、古事記などの矛盾を古田説の方が今までのように誤記、間違いだと言わずに、納得する説明が出来る。でも学会は批判もなし、全く無視だとか?
著者も述べているが、古田説が全てを説明できている訳ではないが、どうして批判、反論などを戦わせないのか不思議だ。やっぱり原子力村のように古代史にも村社会が蔓延っているように思われる。仲間内だけで通じる言葉(方言)が判る人以外は拒絶、無視なのでしょうか?
原子力村は拒絶、無視だけではなく、人格無視の批判、非難、学会、村からの追放と強烈ですが、古代史村は無視。専門家といっても全てが判っているわけではない。もう少し前向きに議論できる場を創っていく必要があるのではという気もします。最初は思いつきであってもそこからアイデアが湧き出すことが多いように思うのですが。