書名:日本沈没 第二部
著者:小松 左京 谷 甲州
発行所:小学館
発行年月日:2006/8/1
ページ:477頁
定価:1800円+税
昭和48年に出版されて大きな話題となり、映画化もされた「日本沈没」日本列島が地震、火山の爆発、大陸プレートの移動で日本海溝に引きずり込まれて消滅してしまうというショッキングな話。そしてそのとき1億人を超える国民を全世界に移住させる大規模なプロジェクトを短期間に成し遂げた。でも日本列島と共に海の藻屑と消えた人は1000万人とも2000万人とも。この二部はその後25年たった日本の国民がどうなったかを小松左京の原案を元にプロジェクトを作って、何人かで集まって議論しながら創作された内容を谷甲州が実際に書き綴ったという作品です。世界に漂流した日本人、25年も経つと2世、3世世代となって「日本沈没」が起こった時、日本列島の記憶も薄れてきている。
パプアニューギニアに移住した人達は熱帯のジャングルを開拓して一大農業地帯を苦労しながら建設して少しずつ自立ができるようになった人々、難民キャンプに生活する人々など、中国、ソ連国境に移住した人達、世界各地に転々と暮らす人々、政府は元日本列島の中で一部残った北陸白山の山頂がほんの少し残った。島に三角点を作って日本の領土として、そこに100万人の人々を住まわせることが出来る人工島の建設。パプアニューギニアに大規模な農業地帯を作って、バラバラになった人々を一つのところに集めることを企画するが。その後日本が開発した地球シミュレーターはその後の気象を未来を予測した。それによると日本沈没によって大量に噴出された噴火灰の影響に寄って地球の気候が寒冷化していく。現代文明の主流である中緯度地域は寒冷化に寄って人は住めない地域になってしまう。
60億人を超える世界の人々の食料は明らかに足りなくなって30億人分くらいしか確保出来なくなってしまう。世界の国々がそれぞれ食糧確保のために醜い争いを続けていく。そんな場面を描いている。そして国土を持たなくなってしまった日本のリーダーとなってこのこの難局に立ち向かう切り札が「地球シミュレーター」「浮体式建造物(人工島)」の技術。国を超えて世界の人々の生きる道を模索していく。「日本沈没」当時の潜水艇のオペレーター小野寺、阿倍怜子なども出て来る。
小松左京は当時、「日本漂流」という題名で構想していたようですが、9年掛かって「日本沈没」部分までしか書けなくて、出版社にいそがされてやむなく出版したとか。その後33年後にようやく二部を。谷甲州によって書かれた作品です。