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本に出会う

書名:絆
著者:江上 剛
発行所:扶桑社
発行年月日:2007/8/30
ページ:370頁
定価:1700円+税

兵庫県丹波で生を受け母ひとり荒んだ家庭で育った森沢康平、村の有力者柳本統治郎の息子柳本治夫、同い年で同じ日生まれ。母が自殺したのちこの有力者の柳本家に世話になって、家族と同居していたが、陰険な治夫のイジメ、家族の目から宿命的な葛藤を断ち切るべく高校卒業を控えた2月に故郷を出奔した康平は、奇妙な縁から大阪駅で愛知県尾西市の染色工場社長矢井田に出会う。その工場に雇ってもらって働き始める。中小企業で必死に働く康平に待っていたのは治夫が勤める中部日本銀行との熾烈で過酷な戦いだった。東京オリンピック、高度成長期、オイルショック、円高不況、バブルに至る昭和から、バブル崩壊、金融不安へと続く平成までを生きた名も無き男が見つけた「絆」とは。この時代を生きた人であればほとんどの人が体験した記憶を呼び起こすことができる時代を背景にこの物語は展開する。バブル期の過剰な貸出し、そして引き剥がし、誰も責任を取らなかった金融業界そのえげつない実態を顕にしている。