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江戸三国志 吉川英治全集4巻

書名:江戸三国志 吉川英治全集4巻
著者:吉川 英治
発行所:講談社
発行年月日:1968/2/20
ページ:506頁
定価:680円

尾州徳川家の七男坊万太郎の邸から、将軍家拝領の「出目洞白の鬼女の面」をまんまと盗み出したのは、大盗賊日本左衛門。面箱の底には“御成敗ばてれん口書も隠されていた。その口書によると、関ヶ原の戦いの前年、日本で客死した羅馬の貴族ピオの遺品「夜光珠の短剣」には、莫大な富と名誉が秘められているという。その行方をめぐり、万太郎と近侍の相良金吾、ころび伴天連の娘お蝶、日本左右衛門の手下、丹頂のお粂、隠れキリシタン、高麗村の一族が入り乱れ、武州、甲州、相州にまたがって展開する。徳川家康が開城する前からあった江戸城からお茶の水への隠し通路を巡って徳川吉宗なども出て来る。物語の展開が逆転、逆転の連続でついつい読み進めてしまう。「鳴戸秘帖」などを彷彿とさせる作品。「出目洞白の鬼女の面」「夜光珠の短剣」という宝を巡って登場人物がてんやわんやの騒動を繰り広げる。なかなか面白い。