書名:命のかがやき
著者:盛永 宗興
発行所:東方出版
発行年月日:1995/3/20
ページ:43頁
定価:583円+税
43ページの小冊子です。盛永宗興老師(妙心寺、花園大学学長)が1993年3月1日に新潟市で行った「命・生と死と」と題した法話をまとめたものです。横浜市の中央図書館にこの本が揃っていたことに感動しました。(誰が選んだのかな?)
豊かで便利で不自由がない。勝手なことが出来る。そういう中でだけ人生を追い求めて一生まともに生きていけると思いますか?人生には別の価値あることに目覚めなければ、発見できなければ人は生きていけない。心の安らぎや冷静さを取り戻し、もっと自然にすなおに受け入れるべきものは受け入れていくことが本当の幸せであると。法話ということもあって易しく説いている。でも奥は深い深い。盛永宗興老師の本を読んでいると自然に心に安らぎが得られる。この本の中では育児ノイローゼなんかは自分で選んで何でも出来ると思い上がった結果、今までなかったものが社会問題になってしまったと説く。「母乳に関する二二の手紙」山内逸郎著、山陽新聞社を800冊を注文して法話を聞いてくれる人に配った話が出ている。この本を読めば育児のことがよく分かると説いている。
本書より
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生まれる時にも親を思いのままに選べなかった。生まれる時に、男になるか女になるかも思いのままには得られなかった。人生そのものの出発点で、まず選ぶ自分自身というものすらが、全部すべてお与えの条件の中で作られたという、これが私たちの人生ですから、選べるものがあると考えることの方が大間違いです。だから自分の思い違いを変えていくという勇気は絶対に必要です。それと同時に、自分ではどうにもならないお与えのご縁というものを受け入れていくだけの、冷静さと申しましょうか、あるいは、その智慧のある生き方ともうしましょうか、忍耐という言葉は使いたくないのですが、「ご縁」をそのままに受け入れていくという、許容力を目ざめさせる。更に変えるべきのと変えることの出来ないものと、はっきり見極めるだけの知恵と、この三つはどうしても身につけなければ本当の幸せにはなれません。
あなたちは、自分を愚かしいものだと考えることはいけません。つまらんものだと考えてもいけません。だから、頭のいい人たちが作り出した。いろいろなものを利用しないと幸せになれないのだと考えるのは間違いです。すばらしい人たちが作り出しているものは気の毒に何らかの事故によって、病気によって、そういう普通の自然の形をとることの出来ない人たちのために、いろいろ作られてのであって、自然なやり方が出来る人たちは、その自然なやり方の中に完璧な状態が生まれている。そこに目覚めるものがあるということです。
毎日私たちの日常生活の中にも備わっているのです。私たちは小利口ぶってそれを全部止めてしまって、代替品で事をすますということになっているのです。