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連鎖破綻 ダブルギアリング

書名:連鎖破綻 ダブルギアリング
著者:香住 究
発行所:ダイヤモンド社
発行年月日:2003/828
ページ:351頁
定価:1700円+税

著者真山仁氏が真山仁でデビューする前に合作(元大手保険会社マンと2人)で書いた処女経済小説です。大手生保清和生命は破滅の危機に瀕していた。好調時には、保険契約高110兆円、資産12兆円を有し、業界トップを伺うところまで行ったこともある。でも昔日の面影はなかった。

入社以来母の愛人であった現会長を失脚させるまでこの会社に居続けるという誓いを立てた社長室次長の各務裕之、そして1981年入社組の仲間達が乱脈経営を続けた生保会社の破綻して行く様を時間軸で克明に描いている、ちょうど2000年頃起こった中小の生命保険会社の破綻をまさに実況中継している感じで描いている。バブル期の相続税対策に売り出された変額保険やサラ金を借りた人に掛けるサラ金保険。

株を持ち合いする銀行への連鎖破綻が懸念される為、金融庁、政治家などが暗躍する。親方日の丸、護送船団方式でやって来た銀行、生命保険業界に起こった金融クライシスなかなか迫力があって面白い。本来生命保険相互会社というのは保健を掛けている人のためにあるもの。またみんな良い人、悪い人は経営しないということを前提に作られているもの、しかし利益、効率、規模の拡大と他の業界と同じような歩みを始めてしまった清和生命が腐ってしまう。そして国内の同業社との合併による救済、外国企業との合併に救済、政治家を動かして法律の改定等いろいと策を練るが結果的には破綻しか手が無くなってしまった。そして各務裕之がとった方策は?