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つくられた「環境問題」

書名:つられた「環境問題」
  NHKの環境報道に騙されるな!
著者:日下公人+武田邦彦
発行所:ワック株式会社
発行日:2009/6/17
定価:857円+税

 日下公人さんは80年代「新文化産業論」を出されている。その後いつもユニークな発想には驚嘆するばかりです。これは関西人の血か?特に長銀、通産省(旧)に出向したりして。政府側と思いきや逆の立場ででの発想、提案に脱帽。この人の論はいつもユニークであるとともに世の中の動きより速すぎるきらいがあります。でも後から読み返してみると日下さんの先を読む能力にはビックリします。30年ほど前会社の土曜サロンで2時間ほどお話をしていたのですが、その時は外食産業が発展して、電気、自動車から主役が変わるとか、漫画が世界に進出していくよなど。当時みんな殆どの人がそんなバカな?という感じで聞いていました。

 今、武田邦彦というと世間では「今の環境問題に反対ばかり唱えている逆賊扱い」の感があります。もっとも支持する人も増えてもいますが、武田さんと日下さんという2人の対談をまとめたのが本書です。武田さんが今まで唱えている環境問題のいろいろな問題を提起して、双方で議論、納得、反論とおもしろいやり取りがつづきます。
 お二人とも現在を楽しんでいる、またどんな悲観的な場面でも、明日、希望、楽観的なところがあり、常に前向きに考えるところが読んでいるものには「夢をあきらめないで」と、希望をもたらしてくれるような気がします。

 地球温暖化問題は実際存在しない、頭の中でつくられた問題、科学の問題はもう手が離れてしまっている。政治、経済の問題化している。(科学は多数決ではない。(それでも地球は回っている・・・これは有名ですね))でも多数決の問題にすり替わっている。非常に難しい環境、気象の問題の悪役はCO2、これを解決すれば全て解決出来る。と決めつけた動きに鋭い指摘、問題提起は考えられされる。日下さんは若い頃、四日市公害、カネミ、水俣病などの問題が大きくなる前に長銀内に公害対策融資を考えて、中小企業向けに融資を出来るように動いたとか?その当時経営者は会社の利益を得るためには公害対策などコストアップ、商売などできないと考える人が殆ど、それを公害対策をすることで商売が出来ると説いてまわったとか?
そんな当時に比べて1990年以降、目に見える公害は少なくとも日本には存在しなくなった。また経営者も公害を出さないで利益を上げることとが当たり前になってきている。
今騒いでいる環境問題とは質が違っている。公害が問題になっていたころ環境庁が出来て、解決する問題が無くなった時に省に昇格、省となったらその人達が仕事を一生懸命作り出した。(無いとはいえない)将来の環境問題をつくることに一生懸命なった。また将来のことだからミスをしても責任を取られることはない。
武田さんは環境省のことを、「戦争が無くなった将校」が大将になるべく仮想敵国を作って戦争準備を唱えているという比喩で表現している。

テレビ、新聞等の環境問題の解説ばかりではなく、こんな本も読んで自分で考えてみたいと思います。1000円で違った世界が見えてきます。1000年前に「林檎が落ちた」これはなぜ!、その当時の人は「万有引力」は知らなかった。そこでみんなはどう考えていたでしょうか?

 「地面に悪魔がいてそれが引っ張っているから地面に落ちる」
今の科学は進んでいて全て判っていると考えている傾向(人間の持っている業(ごう))がある。その範囲の中でしか考えられない。でも50年先、100年先は全く違った科学、技術が出て来るイノベーションが起こる。木を切って薪にしてエネルギーを得ていた時代が長く続いて、山から木が無くなってしまって滅亡して古代文明、その後植物の死骸(化石)である石炭を使ってエネルギーを得ていた(ロンドンのスモッグ問題)でも同じ死骸でも石油の方が扱いが上手くできるので石油に移行してエネルギーを得ていた。今その最後の時代。後何年石油が持つか色々説があるが、動植物の死骸を燃料にしている限り限りある資源。どこかで無くなるか、代替エネルギーが出てこない限り無くなってしまうのは間違いがない。そこで「節約」「節約」といって「節約」しても100年持つものが105年(5年伸びる)持つ程度の効果しかない。「節約」「クールビルズ」「エコポイント」政府などが立案するものとしては「お粗末すぎる」。

明治時代の炭坑主に渡辺祐策す。このひとは
石炭は有限のものだ。掘っていればやがて尽きる。だから石炭を節約するのではなく石炭のある間にその富で無限の技術に転換しなければならない。渡辺祐策(1864-1934)沖ノ山炭坑(宇部興産の創始者)

今、ある石油を使って次の技術、エネルギーに転換することを考える、実行するのが政府の役割ではないでしょうか?マスコミは「お粗末な政策を広報するのではなく、本当の役割に気づかせることが役割では?少なくとも本書にいっているように嘘八百を並べることではないと思う。

 では石油がなくなったら、また昔むかしにもどって薪の生活か?そんなに人間見捨てた者ではない。過去の歴史を見ても判るように必ずイノベーションを起こして次のエネルギーを見つけ出す。たぶんそれは核融合技術などでしょう?これだと3000年は大丈夫だと言われている。

今の電気自動車はCO2を排出しない。(本当は電気をつくるのに一杯CO2を排出している。これは黙っている。)でも核融合はCO2は出ない。これで作った電気で走る電気自動車はCO2は出さないと言えるのでは?
広島、長崎の経験のある日本人に核融合、原子力発電を認めて貰うにはこれから50年100年はかかる大きな問題ではないでしょうか?

日下さん、武田さんの思考の1/10でもいいから自分で考えて見たい。鵜呑みにする危険性に気づかされた一書でした。皆さんにも薦めたい本です。

本書より------------------------------
1990年以降、日本に環境問題は存在しない!「南極の温暖化」も「ダイオキシン報道」も嘘八百!いまこそ日本人のためのエコロジーを考えよう!
第1章 全て解決している日本の環境問題
第2章 マスコミが煽った「つくられた環境問題」
第3章 ウソだらけ!NHKの環境報道
第4章 日本は公害対策の最先進国
第5章 「節約」などのでは社会は発展しない
第6章 日本技術の原動力は家族社会と駅伝方式
エピローグ 日本のエネルギーは心配はない