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実見 江戸の暮らし

書名:実見 江戸の暮らし
著者:石川 英輔
発行所:講談社
発行年月日:2009/12/19
ページ:218頁
定価:1400円+税

明六つ、暮六つで生活した江戸時代。月の暦を太陰暦、年の暦は太陽暦、太陰暦+太陽暦を微妙に調整しながら渋川春海が作った貞享暦(1684年)が基本として明治5年のグレゴリオ暦を採用されるまで使われてきた。明六つというのは太陽が上る前35分、暮六つとは太陽が沈んでから後35分この間が昼間、これを6等分したのが一刻(いっとき)として生活していた。全国一律で時間が決まっていたわけではなく、地方地方で独自に時刻は決まっていた。時間給で働くのは難しいですね。
夏至 15:51(昼) 8:09(夜) 昼の一刻 2:38 夜の一刻 1:21
冬至 10:56(昼) 13:04(夜)昼の一刻 1:50 夜の一刻 2:10

この本は江戸時代の仮名本、図会、浮世絵、錦絵などを参考に、江戸時代の人々の暮らし向きを説明してくれる。とかく書物などに残っていることは当たり前のことは記録されていないので、記録、文書などは本当のことは教えてくれないが、名所江戸百景などの現在でいうところの観光ガイドなどは嘘を書くと売れないので、比較的その時代を書いている。一汁一菜、一汁三菜など貧しい食事だと理解されている江戸時代。

でも豆腐百珍、料理通など種類も豊富で五歩くと屋台、十歩歩くと飲食店と読まれているように外食もあり、いろいろな商品を買いに行かなくても行商してくれる支払いも現金だけではなく、盆暮れに一括支払い。現代の生活より余裕があり、ゆったりとした暮らしがあった。江戸城に千両箱を運んでいる絵にもガードマンはいない。銭を大八車につんで運んでいる商店の丁稚たちの周りにもガードマンはいない。100万都市江戸の治安も良かった。千両箱は約30kgあったようです。石川五右衛門が肩に持って、屋根の上をひょいひょいと逃げている時代劇は?ですね。

現代の五円玉は3.75g、昔の一匁、寛永通宝(一文銭)も3.75g、現代の五円玉は寛永通宝の子孫なんですね。ちなみに一円玉は1g、直径20mm。

「江戸名所図会」「都名所図会」「今様見立士農工商」「北雪美談時代鏡」「春色梅児誉美」「浮世床」「絵本江戸土産」「薄俤幻日記」「豆腐百珍」「為御菜」「江戸府内 風俗往来」「金草鞋
」「教草女房形気」「料理通」「東海道名所図会」「尾張名所図会」「百人女郎品定」「名所江戸百景」「花洛名勝図会」「機巧図彙」などから図、絵などを引用してあって非常に面白い本です。

これらの絵、文書などは下記のホームページで見ることが出来ます。本を読みながらホームページで確認することが簡単に出来てしまいますね。PDFでダウンロードも出来ます。精度が必要な時は下記に資料請求をすれば有料で手に入れることが出来ます。(一枚40円程度のコピー料。)

国立公文書館 デジタルアーカイブ
http://www.digital.archives.go.jp/
国立国会図書館デジタル化資料
http://dl.ndl.go.jp/