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アスファルトの下の江戸 住まいと暮らし

書名:アスファルトの下の江戸 住まいと暮らし
著者:寺島 孝一
発行所:吉川弘文館
発行年月日:2005/06/01
ページ:213頁
定価:1700円+税

1980年代から東京の街の再開発がいろいろなところで盛んになって、東京の地下が発掘されて、いままで文献、遺物等でしか判らなかったことが、もう少しはっきりと判るようになってきた。そんな江戸時代の地層から出土する豊富な事蹟を絵画や文献と照らし合わせながら、江戸庶民の生活を再現して、飽食の現代を生きるわれわれに、真の豊かな生活とはなにか?を考えさせる。

本書より
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貧しい時代、人間の欲望は、将来の「発展」へ向かっての原動力であった。しかし、発展をいつまでも続けていいものではなことは、単純に、地球の収容力を考えればどんな素人にもすぐ判ることである。世界一の長寿国になり、お天道様したで、三度々々食事をいただき、暖かい布団の中で寝てその上、一体何を望もうというのか。

衣食足りて、礼節を知る

「管子」の中の有名な言葉である。二十世紀は、この管仲の言葉が、決定的に間違っていたことを、この星をあげて、実証した世紀であったかもしれない。

欲望は、満たされない時に美しい。
しかし、すべての欲望が満たされている時、さらなる欲望は、はてしなく醜悪である。

どこで止まるべきか、あるいはどこで止まるべきだったか、いま私たちは真剣に考えてみる必要があるのではないだろうか。