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江戸の名奉行

書名:江戸の名奉行
   人物・事績・仕置きのすべて
著者:丹野 顕
発行所:新人物往来社
発行年月日:2008/10/18
ページ:347頁
定価:2500円+税

江戸時代の奉行というのは100程あったらしい。その中で北町奉行、南町奉行などの町奉行、火付盗賊改、勘定奉行、寺社奉行などの中で名奉行と言われた人達の44名の人物、事蹟、仕置きなどを一堂に集めた本です。大岡政談でお馴染みの大岡越前守忠相、桜吹雪でお馴染みの遠山左衛門尉景元(遠山の金さん)鬼の平蔵長谷川平蔵宣以(のぶため)などは時代劇などでよく知っている人達ですが、それ以外にもいろいろ名奉行と言われた人達がいました。そして時代劇などで先の3人の事蹟とされている事が、実は全く別の奉行の行った事だったりなかなか面白い読み物です。

よく町奉行、寺社奉行とならんで紹介されますが、町奉行は旗本、老中直轄、寺社奉行は大名、将軍直轄で身分が違う。したがって時代劇の中で奉行は、寺社奉行の管轄事項に関わるときはいろいろと工夫しているところなどが見られます。

その中でも板倉伊賀守勝重、江戸町奉行、京都所司代江戸初期の名奉行。大岡政談にも取り込まれた裁きもいっぱいある。川路左衛門尉聖謨(としあきら)奈良奉行の時長年に渡る龍田神社・法隆寺との争いの解決、町人が鹿を殺したときの粋な計らい。官軍が江戸にやって来たとき幕府の役人として拳銃で自殺した。
鳥居甲斐守忠燿(ただてる)南町奉行、は毒にも薬にもなる悪奉行、鳥居燿蔵の方がわかり易いと思う。今までの名奉行とは対照的な悪奉行、水野忠邦に取り入ってほしいままにした。水野忠邦の失脚にすら手を染めている。林家の出身。

江戸時代になると残っている資料が多いので各奉行の事蹟も判っていることもあるが、その後震災など資料の書けている部分も多いのであまりよく分かっていない奉行もいるようです。でもよく調べて集めてあると思います。