書名:新撰組秘帖
著者:中村 彰彦
発行所:新人物往来社
発行年月日:2002/5/31
ページ:354頁
定価:1900円+税
新撰組というと「鞍馬天狗」でも悪役としてよく時代劇に登場している。また主人公としては近藤勇、土方歳三、沖田総司、永倉新八などよく出て来るが、この本では脇役としてしか出てこない人達を取り上げた短編集です。
作品は「輪違屋の客」加納惣三郎、「密偵きたる」松山幾之介、「ふらつき愛之助」加藤愛之助、「近藤勇を撃った男」富山弥兵衛、「忠助の赤いふんどし」沢忠助、「巨体倒るとも」島田魁、「五稜郭の夕日」市村鉄之助、「明治四年黒谷の私闘」橋本皆助、「明治新選組」相馬主計「対談 新選組と日本精神」著者と東大教授・山内昌之氏との対談を収録している。
短編ですが、どれもなかなか読み応えがある。いままでの新撰組像とは違った姿を明治以降も生き残った人達、行方不明になった人達、新撰組から官軍に移ってしまった人達、それぞれの幕末・維新の処し方、目に見えない運命というものを感じる。会津藩主松平容保と新撰組が長州征伐に行軍していたら、近代武器の威力というものをしっかりと認識が出来たのでは、旗本、大名等の武士としての徳川家臣団が幕末の混乱期に何も出来なかったときに、名も無き人達が新撰組という集団に集って、京都、江戸、八王子、甲州、長岡、会津、仙台、函館の地まで幕府側として忠誠を示したのは何故だったのか?本来やらなければいけない人達が、何もやらなかった。のか?
いろいろ考えさせてくれる作品です。