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われに千里の思いあり

書名:われに千里の思いあり(上)
   風雲児・前田利常
著者:中村 彰彦
発行所:文藝春秋社
発行年月日:2008/9/15
ページ:413頁
定価:1800円+税

書名:われに千里の思いあり(中)
   快男児・前田光高
著者:中村 彰彦
発行所:文藝春秋社
発行年月日:2008/11/25
ページ:418頁
定価:1800円+税

書名:われに千里の思いあり(下)
   名君・前田綱紀
著者:中村 彰彦
発行所:文藝春秋社
発行年月日:2009/2/25
ページ:421頁
定価:1800円+税

加賀百万石の前田家、初代前田利家・利長が有名ですが、その後の子孫についてはあまり語られません。この本は3代目利常、4代目光高、5代目綱紀の事蹟、運命を描いています。徳川時代家光の時代までは大名の取りつぶしが頻発した時代。特に大藩は次々と潰される運命にあった。そんな時代を利常、光髙、綱紀が幕府との関係を築いて加賀百万石を守っていったのか?創業の難しさもあるけれど守って継続して行くことの難しさを語っている。

そして利常、光髙、綱紀の3代がいずれも「ぼんくら殿様」でなかったことが前田家にとっては幸いした。地元北国新聞に2年に渡って連載された作品です。綱紀の岳父は保科正之。作者はこの保科正之が気にいっているようでいろいろな作品を書いている。保科正之の影響を受けて綱紀は藩内の治世を会津藩の諸制度、法令などを応用して行っている。この5代目になって加賀百万石(実際は120万石)が安定したと考えられる。山有り谷有り、運命に翻弄されながらも、それに立ち向かっていく各藩主たちの物語。長編歴史小説ですが、読みやすい本です。

本書
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利常公が柳河藩立花宗茂公から教えて貰った。

「老驥(ろうき)は櫪(れき)に伏すも志は千里にあり 烈士暮年 壮心やまず」
魏の武帝(曹操孟徳)「碣石篇」の一節
駿馬は、老いて厩に伏したところで、その志は千里のかなたを駆け巡ろうとする。そのように烈士といわれるほどの者は、老いたとて、壮心已みがたく大志を遂げようとするものだ。