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出雲神話の真実

書名:出雲神話の真実
   封印された古代史を解く
著者:関 裕二
発行所:php研究所
発行年月日:2004/7/29
ページ:238頁
定価:1300円+税

日本書紀、古事記と出雲風土記には大きく違った物語が語られている。その中でも出雲の神様は祟る神、大和朝廷はいつも出雲に気を遣っている。近年まで出雲地方には何の遺跡も証跡もない。出雲というのは空想の世界と思って無視され続けられてきた。

とこが一箇所から350本以上の銅剣が見つかった出雲の荒神谷遺跡の発掘や、様々な土地の文化の流入が読み取れる奈良の纒向遺跡の発掘など、近年の考古学の発掘の成果も出てきており、出雲がヤマト朝廷成立時期までは強力な勢力をもっていた。
またヤマト朝廷成立に当たっても大きな役割を担ってきたと著者は唱える。

アカデミックな学会からは空想と無視されるかもしれないが、蘇我氏、物部氏こそ、出雲を由来とする正統な氏族。そして大化の改新で蘇我氏を滅ぼさなければならなかった理由、そして藤原不比等が日本書紀に蘇我氏、物部氏を抹殺してしまった訳は?また長い年月に渡って天皇家は出雲を無視できずいつまでも出雲大社を崇め奉っていたのか?

古代史ロマンとしておもしろい。しかしこの本は複雑すぎる、なかなか頭に入ってこない。支離滅裂で話が次々飛んでしまう。また興味を持つと詳しくは以前の著書をと肩すかしを食らってしまう。分かっている人が分かっている人向け、自分向けに書いている感じがする。