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舶来屋

書名:舶来屋
著者:幸田 真音
発行所:新潮社
発行年月日:2009/7/25
ページ:409頁
定価:1900円+税

戦時中、兵隊として中国に行ったとき偶然見た天津の街で出会った西洋の一級品、その圧倒的な輝きに、万が一生きて帰れるのなら、こんな綺麗なものを売りたい。文化を売る商売人になりたい。サンモトヤマ(銀座)の茂登山長市郎の一代記。
戦後の闇市から出発して、商売を拡大、昭和34年には欧州へ商売のために欧州へ、そしてその後何回も渡航する。最初にグッチに何回も通い詰め、グッチの社長と意気投合してグッチの商品を仕入れることができた。そしてエルメス、セリーヌ、エトロなどヨーロッパの高級品を日本に紹介した。
年代が60歳も違う男女(洋司、あゆむ)を相手に、80歳の老年の茂里谷長市郎(茂登山長市郎)が太平洋戦争が始まって徴兵で戦争に行くところから、大陸での5年間の経験、戦後のどさくさにどう立ち向かっていったか。闇市での商売など過去の経験、体験を語るという形で物語が進んでいく。

いつも前を向いている茂里谷長市郎、いつも困っていると誰かが助けてくれる。運は天からのもの、しかし縁は人から、お客様が欲しいと言っている品物を、いかに提供するか?そればかり考えて行動してきた。困難にあっても前を向いて積極的に行動している。するとどこからか助けの神が現れる。自分があきらめなかったら失敗したとはいえない。反省はするけれど後悔はしない。失敗、反省は後の役に立つけれど、後悔はなにも残さない。「商い」は「飽きない」、商売に必要なのは「感情」と「勘定」
「文化を売る。美しいものを売る」舶来屋一筋に痛快に生きた戦後史、銀座史、そして日本史でもある。また心にしみる一冊です。

銀座人インタビュー〈第1弾〉銀座の商人(あきんど)今昔そして未来
http://www.ichibankan.com/ja/interview/no001_01.htm
茂登山長市郎[「サンモトヤマ」代表取締役会長・89歳] 
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1031