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いかだ満月

書名:いかだ満月
著者:山本 一力
発行所:角川春樹事務所
発行年月日:2011/6/18
ページ:378頁
定価:600円+税

江戸の義賊として名を馳せた鼠小僧次郎吉が、大森で獄門になった。次郎吉の相棒であった材木商「新宮屋」の主、祥吉は次郎吉との約束を果たそうと心に固く誓う。それは残された次郎吉の妻おきち、息子の大次郎を命をかけて守ること。
そんなおり、「新宮屋」に大商いの話が飛び込んできた。熊野杉の大量発注、大次郎、木場の川並の健次とともに七日船(品川沖から新宮までを7日という速さで結ぶ高速船)に乗って紀州・新宮に向かう。「月のうさぎがはねたら、明日は吉兆」大次郎は父鼠小僧次郎吉に言われたことを固く信じていた」
現代の語り部、山本一力特有の江戸っ子話、義理と人情に絡んだ話、明日を信じて生きる生き生きとした人々がくりなす長編時代劇。へたなビジネス書、ノウハウ本を読むより商売、ビジネスの基本などがいろんな場面にちりばめられている、いつもながら面白い。