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江戸っ子長さんの舶来屋一代記

書名:江戸っ子長さんの舶来屋一代記
著者:茂登山 長市郎
発行所:集英社
発行年月日:2005/7/20
ページ:253頁
定価:700円+税

書名:舶来屋 著者:幸田 真音 発行所:新潮社の元になったと思われる。茂登山長市郎氏の一代記。インタビューで茂登山氏の歩んできた道をなぞっている。
グッチ、エルメスを日本に紹介した男、それも生粋の江戸っ子商人。「文化を売る、美しいものを売る」江戸っ子商人の粋と情、馬鹿さかげんを感じる元気で明るい人が生き生きと動き回っている。大阪商人とは違う。大阪でも情もあるが、商売だけは別という冷めたところがある。でもこの茂登山氏の人柄には情、大阪からすれば甘いところもあって正直さ加減が出ていて好感が持てる。

そして足を知る人。いかに捨てるか、やめるか、その加減が絶妙。そして自分たちのコントロール出来なるまで店を大きくしない。大きくするよりお客様をお得意様に、そして従業員もそれぞれが成長する。美しいものが分かる。お得意様の欲しているが分かることが大事。そしてブランド商売もアウトレット商売になってきた。もう終わりが見えてきた。希少価値があったからブランド商品。どこでも手に入り値段も一緒。もしくは安売り。そんな泥沼には入っては行かない。
次は西洋ではなく、アジアの美しいものを求めて次の商品の発掘に余念がない。とても自分の生きている内には見られないけれど、将来の商売を十分に視野に入れている。人生の指南書、ビジネス書という意味で読んでも面白い。美しいものの究極を追いかけた人生を語っている。


本書より
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人生訓
1.セールスとは自分の全てを売ることで、あって物を売ることではない。
2.「商い」は楽しくなければならない。「商い」は「飽きない」
3.「お得意様」とは、お客様を得意にすること
4.迷惑はかけられても、かけてはならない
5.商品をすすめる時、「これが一番」と決して言ってはならない
6.クレームこそ最大のチャンス!
7.仕事は決して人と同じことをしない
8.常にクオリティを追求しろ
9.人の悪口、噂話は絶対にするな!
10.いいことにも、悪いことにも、すべてに感謝

電通「鬼十則」4代目社長吉田秀雄
1.仕事は自ら「創る」べきで、与えられるべきでない
1.仕事とは先手先手と「働き掛け」て行くことで、受け身でやるものでない
1.「大きな仕事」と取り組め、小さな仕事は己れを小さくする
1.「難しい仕事」を狙え、そしてこれを成し遂げる所に進歩がある
1.取り組んだら「放すな」、殺されても放すな、目的完遂までは。
1.周囲を「引きずり回せ」、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地の開きができる
1.「計画」を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる
1.「自信」を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、厚みすらがない。
1.頭は常に「全回転」、八方に気を配って一分の隙もあってはならぬ。サービスとはそのようなものだ。
1.「摩擦を恐れるな」、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと卑屈未練になる。