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倒幕の紋章

書名:倒幕の紋章 闇の異人館
著者:加治 将一
発行所:PHP研究所
発行年月日:2009/9/1
ページ:381頁
定価:1800円+税

書名:倒幕の紋章Ⅱ 闇の番人
著者:加治 将一
発行所:PHP研究所
発行年月日:2010/6/29
ページ:395頁
定価:1900円+税

時は激動の幕末、伊達藩亘理の侍、奥平長次郎は支配筋から消えた三万両の検索を命じられた。時あたかも開港を迎えた横濱に向かう。いざ横濱にやってくるとそこは得体の知れない異人が闊歩する異空間であった。攘夷派と開国派、朝廷と幕府接近する外国工作員、虚々実々の駆け引き長次郎は自分を見失っていく。その後江戸、仙台と検索を続けていくうちに、三万両の陰に仙台藩の伝説「闇の番人」の存在が浮かび上がる。長次郎は関内の洋館で自由、平等、博愛をテーマに掲げた秘密結社「譜理冥尊」に身を投じる。譜理冥尊のつてを頼りに「消えた三万両」「闇の番人」を追いかけていく。

開明派の重鎮・勝海舟、相棒の氏家忠助、榎本武揚、西周、グラバー、そしてエゲレスの譜理冥尊の助けを得ながら、ついに長次郎は、三万両の行方と「秘密の武器」を守る「闇の番人」の居所をつかむ。だが、長次郎は事件の裏側に仙台藩の驚くべき秘密があったことを知るのだった。

音を立てて崩れていく幕末日本の裏舞台を鋭く描いている。いままでの幕末史観を覆す著者の視点が面白い。譜理冥尊(フリーメイソン)がキーワード。しかし本物のフリーメイソンには日本人は野蛮すぎて入れてもらえなかった(幕末時)そこでフリーメイソンの日本独自の組織「譜理冥尊」が陰の支配者として幕末の尊皇攘夷、開国の両派を自由に操るというストーリー。ちょっと後付という感じがしないでもないが、こんな視点も面白い。でも歴史というのはその当事者、その時代を生きている人にとってはそんなに理屈で割り切れる動きをしていたのではないと思う。おのおのがそれぞれの判断で尊皇攘夷、開国、倒幕と動いた結果が明治という時代では。最初から先を読んでコントロールしていた陰の力、支配者がいたわけではないように思う。