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アカハラ 小説DNAスパイ事件

書名:アカハラ 小説DNAスパイ事件
著者:杉田 望
発行所:毎日新聞社
発行年月日:2003/11/15
ページ:252頁
定価:1600円+税

アカハラというのはアカデミック・ハラスメントの事です。米名門大学医学部で起きたDNA試料盗難事件。主人公高津佳奈子はスプリングス研究所に勤務する名の知れた遺伝子工学の研究者、夫の中国人仲治愈もキャニオン大学サンディエゴ校で教鞭をとる遺伝子工学の専門家。物語はこの2人がFBIに逮捕される場面から始まる。時は9.11事件が起きた後、テロに対して警備、調査が厳格になった時期。

二人の師ロバート・キャミン教授は研究費の獲得でも、研究チーム運営、企業との連携でも有能な研究者であり、またマネージメントとしても優秀な主任教授であるが、この師の部下は次々と辞めていく。その裏に隠された顔を持っていた。米名門大学医学部で起きたDNA試料盗難事件の裏に、アカハラが。「外国人」として「女」として海外の一線の研究機関で生きていくことの難しさを描いた作品。セクハラ、アカハラをテーマにしているが、何となく中途半端は感がする。