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決断力(中) そのとき、昭和の経営者たちは

書名:決断力(中) そのとき、昭和の経営者たちは
著者:日刊工業新聞社
発行所:日刊工業新聞社
発行年月日:2001/11/30
ページ:485頁
定価:1524円+税

本書は、今日でも幾多の経営者たちから「昭和の名経営者」と謳われ、精神的な支えともなっている先人たちの、苦難に怯まず、果敢に挑戦した勇気ある「決断力」に焦点をあてている。日本工業新聞で連載された「決断力」の単行本化されたものです。第二弾です。トヨタ自動車・豊田喜一郎氏、出光興産・出光佐三氏、NEC・小林宏治氏、東京急行電鉄・五島昇氏、中部電力(東邦電力)・松永安左エ門氏、旭化成・宮崎輝氏、三井不動産・江戸英雄氏の7人を取り上げています。国産自動車開発に命をかけた悲劇の豊田喜一郎氏、海賊と呼ばれた出光佐三氏、コンピューターと通信の融合C&Cを唱えた小林宏治氏。

強盗慶太の後を次いで城南西方面の開発、田園都市線(もともと渋谷から箱根まで高速道路計画を予定)、周辺の住宅地開発、ホテル事業等の多角化経営を行った五島昇氏。戦後9電力会社、発電・送電を一括化に手腕を発揮した松永安左エ門氏。福沢桃助は電力王、松永は電力の鬼と呼ばれた。また三茶人(益田孝、原三渓、松永)とも呼ばれ骨董、美術品の収集、茶室などにも堪能、そして子孫に美田は残さずとして全て集めたものは寄贈した。波瀾万丈の人。三大労働争議と呼ばれた延岡工場の労働争議で労働組合に一歩も譲らず、第二組合を設立して、外部支援者を追い出した宮崎輝氏。その旭化成の多角化路線の礎を築いた。霞がビル(日本には高層建築は無理が常識)を建てたのを始め千葉の工業地帯の埋め立て、東京ディズニーランドの設立。従来のビル管理会社から大きく脱皮した江戸英雄氏。昭和の創業者、中興の祖と呼ばれる人たちの決断力を紹介している。現代にも充分通用する先人の知恵が散りばめられている。