書名:江と石川村
著者:横溝 潔
発行所:音羽書房
発行年月日:2012/6/20
ページ:57頁
定価:700円+税
増上寺と都筑郡は江戸時代寺領という関係で何となくつながりがあると言うことは知っていました(例えば心行寺の本山は芝増上寺、都筑区には増上寺を本山とする浄土宗のお寺も多い)がこの本では増上寺領の詳細な説明がされている。元々増上寺の寺領は1000石、お江が秀忠に嫁いで来たときに化粧料として3000石を拝領(川和村、石川村、王禅寺村)した。その後将軍家光はお江(崇源院)、秀忠(台徳院)が亡くなった後、御霊屋料4000石(化粧料も含む)を寄進した。その後加増されて1万540石となった。都筑郡7村、荏原郡15村、豊島村2村、橘樹郡25村総計48村を数え現在の横浜市、川崎市、大田区、目黒区、世田谷区に位置している。
都筑郡との関係でいうと二代将軍秀忠とお江、家宣、家継の位牌が満願寺にある。満願寺が増上寺の裏鬼門にあたり守護の役割があったのではないか?神奈川県は小田原藩、支藩の荻野山中藩、六浦藩しかなく、それ以外は天領、旗本、寺社領だった。江戸幕府の方針として関八州は親藩、旗本などの身内で固めるため、その中で都筑郡でも増上寺領として7村の歴史がある。身近なことと江戸時代の歴史との関わりが面白い。またよく調査されていると思う。著者は新石川在住の地域史研究家、横溝潔氏。