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プロメテウスの罠3 福島原発事故、新たな真実

書名:プロメテウスの罠3 福島原発事故、新たな真実
著者:朝日新聞特別報道部
発行所:学研パブリッシング
発行年月日:2013/2/12
ページ:294頁
定価:1238円+税

朝日新聞紙上で現在も連載されている記事の書籍化第3弾です。ここに収録されている内容は、2012年6月9日から2012年10月22日(第13~18シリーズ)までのものに加筆修正したもの。この本では震災当時避難出来なかった広野町の高野病院、残って診療を続けた医院長。原発の爆発で全員避難の連絡は自分で動ける人には早く伝わったが、弱者はいつまでも置いたおかれた。

三春町は町の責任で3/15日午後ヨウ素剤を40才以下の町民に服用させた。制度では国、また県の指示で服用することになっているが、アンテナの高い一人の職員によって、原発からの風向きを調べ、外国の予測図を元に、ヨウ素剤の存在を知ったのは2日前、原発事故とヨウ素剤の猛勉強、住民への説明資料作成、ヨウ素剤配付、服用指示。今回の事故でヨウ素剤を配付、服用させたのは三春町のみ。それも県からお叱りを受けた。勿論懲戒免職は覚悟の上で。どうしょうもない日本にもこんな人がいた。時代が環境が人を作る。を地でいった話。

除染は地元住民に任せきり、がれきの広域処理はどこから出てきた発想?現場を知らない国の役員の発想。がれきの山を目にした地元民の中にはがれきを防潮堤の材料に、地元で処理を考えて国に話しても頑固に、広域処理に拘る国の役人たち。そして電通、博報堂を使って全国に大げさな広告、勿論費用もつかって。がれきの処理は全国に助けて貰わないとどうしょうもないと。これに乗って(騙されて)広域処理をしないといけないと納得した人も沢山いた。

原発の安全神話は崩壊したはず。でも新たな安全神話が水面下でじりじりと迫ってきている。原発がないと電気が足らない。経済成長をするためには原発が必要。今度福島の事故を教訓に。より安全な規制も出来たし、規制庁も出来た。今後の技術の発展をみればこれからの原発は安全ですと。

「新原発安全神話」が大手マスコミ、広告会社、政府、県を使って当然のように屁理屈をつけて大手を振って出てくる。今の福島第一原発の現状をみれば、再稼働などとんでもない。東京オリンピックにうつつを抜かしているよりも、被災者を救済する方が先。TPPなども優先順位が違う。

汚染水問題は政府が責任を持ってとようやく言い出した。でも遅すぎる。果たして政府が責任を持つと言っても、具体的にどうするか?専門家でもなかなか良い案がない難問中の難問。お金を出すことは出来るが、知恵と技術、そして執行する体制、人材を投入できるのか?特に方法論は手探り、カットアンドトライの繰り返し。東電と代わり映えしないのではないか?2年後やっぱりとならなければいいのだが。
この本を読んでいて、避難にしても、汚染地域割りでも、がれき処理でも地元と国、県があまりにも違いすぎる。ネットワークが普及してすぐに連絡を取れるはずが、ちょっと電話で済むことでも書類。正式会談、面接など改まって何とか?緊急場合の対応は喫煙所での立ち話でも決められる。そんな機動力は全くない。読んでいて現場の感心するような対応の対局に役人の頑固で応用の利かない慣例遵守主義が見え隠れする。生の声が多いので実感としてよく分かる。やっぱり原発は弱い者を犠牲にして強引に進められてきた。差別主義の象徴だと思える。そして現地の人たちは何故黙っているの?