記事一覧

本に出会う

メディア危機

書名:メディア危機
著者:金子 勝・アンドリュー・デウィット
発行所:日本放送協会
発行年月日:2005/6/30
ページ:224頁
定価:920円+税

メディアによる情報操作という古くて新しい問題にスポットをあてた反グローバリズムの論客二人によるメディアリテラシー論です。批判的思考を身につけるためにどうすれば良いのか?善か悪かの二分法による歪んだ戦争報道。安易な民営化信仰に基づいた、根拠薄弱な経済回復論。国家や民族をめぐるステレオタイプなイメージで、ナショナリズムを煽る姑息な手法などメディアの情報操作の例を具体的に引用しながら報道内容を批判的に読み解くことの重要性を説く。この時代に持つべきメディア・リテラシーについて述べている。

スピンドクターというのが出てくる。マスメディアを使って、出来事や話を自分に有利なように、ライバルに不利なように描写するのを生業とする人のことである。そうしたスピンドクターたちが様々な方法でメディアを操作しているかの具体例を紹介している。善か悪かの二分法とバッシングという戦時中の手法がまかり通ってテレビが垂れ流すステレオタイプの考え方に洗脳されている。その罠から抜け出すには?平均的日本人がテレビを一週間に26時間見ているとのこと。そのテレビを批判的思考で見るためには。情報過多の時代、混沌とした時代でも一つの情報に振り回されている。それもウソを本当のように信じてしまう。それをストップさせるには?