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第三の時効

書名:第三の時効
著者:横山 秀夫
発行所:集英社
発行年月日:2003/2/10
ページ:324頁
定価:1700円+税

F県警捜査第一課は三つの班から構成されている。一班の班長、朽木は青鬼と呼ばれ、犯罪者に対する激しい怒りの情念を表に出し、執念深く犯人を追い詰めていくタイプ。二班の班長、楠見は非情な策略家。公安部出身であるが故に捜査課では異端児扱いされているが、冷酷な仕事ぶりは部下からも恐れられている。そして、三班の班長は動物的な捜査の勘を持つ天才肌の刑事、村瀬。それぞれ強烈な個性を持ったリーダー達。この三班が事件に挑む。この本は「沈黙のアリバイ」「第三の時効」「囚人のジレンマ」「密室の抜け穴」「ペルソナの微笑」「モノクロームの反転」の短編で構成されいる。

時効の発生は事件発生から15年(当時)、容疑者が海外旅行に7日行ったため、7日間のタイムラグがある。その間に容疑者を追い詰めようとしてF県警捜査第一課二班が動く。班長楠見と刑事たちが激しくぶつかりながら楠見の独断的行動で、捜査が進む。捜査本部内にわだかまる刑事達の心の葛藤、捜査が破綻しそうになりながら、進めていく様を描いている。ミステリーとしての謎解きについては少々出来が悪い。(後からネタ話が出てくる)少々奇をてらった感がする。不自然な感じ。

横山秀夫は初めて読んだが、時間つぶしに読む本としては良いかもしれない。