記事一覧

本に出会う

コンピューターが子供たちをダメにする

書名:「コンピューターが子供たちをダメにする」
著者:クリフォード・ストール
訳者:倉骨彰
出版社:草思社
定価:1500円+税

という本を読んでいます。「カッコウはコンピュータに卵を産む」「インターネットはからっぽの洞窟」という本の著者の最近(ちょっと古いか)の著作です。

「裏表紙より」
コンピュータは使えるけれど、自分では何も出来ない人たちが増えている。図書館から本が消え、学校から教科書が消え、使えないコンピュータが残る。

「情報は力なり」と唱えながら、膨大な情報の洪水に呑み込まれている大人たちこの世界はすべてプログラムされていて、正しいアイコンをクリックすれば問題は解決すると、思いこんでいる子供たちインターネットは情報のファーストフードだ、早くて簡単だけど、その中味は希薄だ。

パソコン恐怖症の大人に限って、子供たちのパソコン教育が重要だと思っている。インターネットで育った子供たちは人との会話の基本を身につけることが出来ない

天体物理学者でコンピュータにも詳しい著者の説になるほどなるほどとうなずきながら読んでいます。

「マクドナルド化する社会」
早く、安く、価値あるものの3つで人は行動するときどれか2つを選んでいる。早く安くはマクノナルドのハンバーガー、早く価値あるものはレストランの食事、安く、価値あるものは家庭料理。

社会はいろいろなところで早く、安くになっていている。子供たちの教育にも安く、早く、インターネットの接続された環境で手軽にいろいろな情報にアクセスでいる。理科なども蛙の解剖なんかはしないすべてコンピュータの疑似実験(シュミレーション)でわかった気になっている。そして理解が早くできると。でも実体験のない理解では自分で考えることが出来ない。勉強、学習には王道はない。インターネットで得た情報でわかった気になっただけ。

そんな流れに全く反対しているのではないけれど、ある種の警告を与えている。これは今のネット社会への警告とも受け取れる。「情報」という言葉に踊らされていませんか?

いつの頃からか?
物<知識<情報 になってきている。高度情報化社会とか知識集約産業言葉の遊びに惑わされてはいけない。「情報」という訳のわからないものをさも判ったような気がしているだけでは。

情報<知識<物

という順番をしっかり認識しないといけないといっているような気がします。情報を過大評価しないこと。インターネットは情報安易に手に入るけれど、無料で手に入る情報はやっぱり三流の情報(あってもなくても良い情報)ということを認識しないといけないという気がしました。

情報、知識をしっかり使える基本的な学力、能力を持つことが一番大切なこと。ネットディのように大げさに学校にハイテク機器を入れなくても、教師と生徒の間のコミュニケーションを取れる。双方向のやり取りが出来る環境を整えることが先では。
 ハード機器の問題ではなく、メンタルなソフトの充実では、でもこれは非常に時間と忍耐のいることです。手軽に出来るネットワーク社会とは違った世界です。教育に効率をもとめることはちょっと違うのでは。ピアノや踊りなどは3歳から始めないいけないかもしれないが、コンピューターなんて大人になってからでも十分間に合うということを認識しておく必要があるのではないかと思います。