書名:君たちに明日はない
著者:垣根 涼介
発行所:新潮社
発行年月日:2005/3/30
ページ:317頁
定価:1500円+税
主人公はリストラ請負会社「ヒューマンリアクト(株)」に勤める村上真介33才。首切りの面接官、昨日はメーカー、今日は銀行、明日は商社と次々と依頼された会社の人達に面接をして、自己退職に追い込む。理由もなく一般社員を解雇することは労働基準法で禁じられている。
したがって「あなたの所属する部署がなくなる」「会社に残っても給料の大幅な減額は避けられない」「今なら、退職金の積み増し制度がある。いっそ、新しい世界で羽ばたいてみては」と。決して解雇は口にしない。じわじわと自己退職に。でも「あたしは、絶対にやめませんからっ!」と必死に抵抗する人も極限状況の中でそれぞれの人生が交差する。この仕事はハッキリ言って精神的にきつい仕事。
一人一人の会社員のこれからの人生を狂わせてしまうエグイ仕事。そんな物語。『君たちに明日はない』は、2010年1月NHKの土曜ドラマで放送された原作。解雇されていく人の状況などは良く小説の題材になるが、逆に退職請負人の立場にたった物語は少ない。でもどちら側からでも何となくやるせない話だ。