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本に出会う

仮想儀礼

書名:仮想儀礼(上)
著者:篠田 節子
発行所:新潮社
発行年月日:2008/12/20
ページ:469頁
定価:1800円+税

書名:仮想儀礼(下)
著者:篠田 節子
発行所:新潮社
発行年月日:2008/12/20
ページ:445頁
定価:1800円+税

「実業の時代は、終わりました。これからは虚業の時代です。僕たちは、実業の方だけ向いていたから、何も思いつかなかった。でも僕らが起こすのは、虚業でいい」と元都庁のエリート職員の鈴木正彦、おだてに乗って原稿用紙4千枚を超えるゲーム・ブック「グゲ王国の秘宝」を書いたはいいが企画はボツになり、妻も財産も仕事すら失ったしまった。おだてた元編集者の矢口誠も失業、その二人がビジネスとして宗教団体を立ち上げる。

「信者が三十人いれば、食っていける。五百人いれば、ベンツに乗れる―」と聖泉真法会なる宗教団体、それに引きつけられる信者たちがどんどん集まってくる。ゲームの世界で使った教義を元にいい加減な儀式などを行って、偽物だけれど何となく信じる人々が集まってくる。現代日本の新興宗教ビジネスを描いている。面白い試みではあるが、今ひとつしっくりとしない作品だと思う。でも2009年柴田錬三郎賞受賞作品とか?