記事一覧

本に出会う

新聞・テレビは「データ」でウソをつく 

書名:新聞・テレビは「データ」でウソをつく 
   政府とメディアのデータ・トリックを見破る方法
著者:武田 邦彦
発行所:日本文芸社
発行年月日:2013/2/1
ページ:295頁
定価:1300円+税

武田邦彦のブログを読んでいる人は今まで書かれていること纏めたものだということが判ると思う。新聞・テレビは事実をあえて報道しない。メディアの情報操作を受けているというこを原発事故の報道を
見た人は実感として判るだろう。1933年国際連盟を脱退して孤立の道を歩み始めたとき、毎日新聞は
事実の報道に徹した。朝日新聞、読売新聞は政府、軍部、世間に迎合して脱退を指示した報道を行った。その結果毎日新聞は停滞、朝日新聞、読売新聞は発行部数を大幅に伸ばした。1971年沖縄返還のときも密約を巡って毎日新聞の不買運動が起きた。
日本の世論に迎合して報道することの危険が未だに続いている。世論が悪いのか?政府が悪いのか?メディアが悪いのか?
科学的事実であるかのような錯覚を植え付け、間違った「常識」をつくりあげて、世論を誘導することが、一部のマスメディアや学者たち、政府の常套手段である。そんなデータ・トリックに騙されない方法を下記のような例を挙げて詳細に説明している。

平気でウソをつく地震予知のトリック、
「石油はあと40年しかない」常に「無くなる」といわれ続けている資源の実態、
「高血圧は長生きできない」という医療のウソ
少子高齢化で「暗い未来」をあおる政府、社会を口実にしている年金の不安、
地球温暖化でウソをつくメディアと政府のトリック
警察発表のトリックとそれを垂れ流す新聞、テレビ
誰も言わないタバコと肺ガンに関するのデータ操作、
生物の多様性の危機をあおる詐欺的な報道
「メタボは怖い」は情報操作だった
など、9つの事例を挙げながら、

一時死者が15000人までなった交通事故死、今は6000人程度まで下がってきたと報道されているが、1990年死者の定義を24時間内に死亡した人と変えている。死傷者は100万人位だったのが、今は120万人(これは警察は発表している。でも記事にはならない)交通事故対策の効果があったような報道をするため不都合なデータは取り上げない。青少年の凶悪犯罪が増えてきたという報道も戦後は6000件、今2000件前後、ただし10年位を取り上げて増えたと報道している。

地球温暖化も同じ、時間軸をどうとるかで全く違ってくる。気候、地震などの自然現象のデータは時間軸を長くとらないと全く逆の結果が出てくる典型。生物の多様性も2億年前から比べればどんどん絶滅する種が減ってきている。重箱の隅つつき的なデータの見方の怖さはここにある。また前提条件を明記しないデータは意味が無いデータだと言うことを真の科学者なら常識だが、世論に迎合するために恣意的に自説に都合の良いデータを集めているけしからん科学者もどきもいることも事実。そうしないと研究費が確保できない。まず、新聞・テレビのデータは疑ってかかれ!

著者はずいぶん以前から地震予知は出来ないと言っていた。最近ようやく地震学者も出来ないことを認めている。阪神淡路大震災、東日本大震災より以前は東海地震が大騒ぎして、予算も機材も人材も一番多くつぎ込んで地震予知に走った。でも結果は?この責任は?出来ない予知に振り回されただけ。
「科学は未来は予測できない」ということを頭の隅に入れておくとメディアの記事、ニュースのウソを発見するきっかけがつかめると思う。

武田邦彦 (中部大学): 「新聞・テレビはデータでウソをつく」原因
http://takedanet.com/2013/01/post_2d1c.html