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本に出会う

東慶寺花だより

書名:東慶寺花だより
著者:井上 ひさし
発行所:文藝春秋
発行年月日:2010/11/30
ページ413頁
定価:1619円+税

先日、井上ひさしの奥さん、井上ゆりさんに会った。いろいろ話をしたけれど、実は井上ひさしの本は読んだことがなかった。これをきっかけに井上ひさしの本を読んでみようと手にした本がこの「東慶寺花だより」です。この本は江戸時代の女たちの「駆け込み寺」東慶寺を描いています。

主人公は、東慶寺の御用宿の1つ柏屋の居候の中村信次郎。本業は医業見習いで、江戸蔵前の町医者西沢佳庵のもとで修業していた。その一方で、滑稽本を書いており、本石町の翫月堂から出した事もあり、どちらの道に進むべきか迷っている若者。御用宿柏屋に居候をつづけ、駆け込み寺にやってくるいろいろな人々の生き様を観察しながら、作品のネタ探しもやっている。そこには涙あり笑いありの人生劇場、男からの離縁はすぐ認められたが、女が離縁をするためには「駆け込み寺」に飛び込むところから始まる。日本では東慶寺と上州新田の満徳寺の2つが縁切寺として幕府から認められていた。

小説は、井上が98年4月号から11年にわたり「オール讀物」にて連載した短編が15編掲載されている。また、東慶寺花だより」が、14年1月の歌舞伎座『壽初春大歌舞伎』の夜の部の演目の一つとして上演される。人情話、落ちがあったりなかなか面白い。鎌倉が舞台がまた楽しい。


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