書名:日本の古代国家形成と東アジア
著者:鈴木 靖民
発行所:吉川弘文館
発行年月日:2011/9/1
ページ385頁
定価:11000円+税
久々に難物に出会った。いくら読んでも理解出来ない。何故だろうと考えてみるに、文章が長すぎる一行53文字、それが3行位で文章が終わる。、で体言止め、接続詞で繋ぐという書き方。歴史研究者の論文の書き方がこうなのか?他の人の論文はそうでもなさそう。特許請求範囲を読んでいるような難解さ。読むのに、つごう1ヶ月掛かってしまった。最近では売れる判りやすい文章は1文20から30文字の本。それとは全く違う本です。普通100ページほど読めば著者の癖、流儀、文章などに慣れてきてそれなりに読みこなせるようになるのですが、この本は最後まで慣れなかった。
ところで中味は著者が1970代から発表してきた論文の中から7世紀の国際関係に焦点をあてて、中国・朝鮮半島と日本の交流史です。東アジア世界の中で、古代日本の国家形成はどのようになされてきたのか?中大兄皇子と中臣鎌子による「乙巳の変」、その後の中国・朝鮮半島の情勢、交流を遣唐使が終わるまでを述べている。今まで「乙巳の変(いっしのへん)」というのは知らなかった。
*大化の改新(「乙巳の変」の後に行われた一連の政治改革が「大化の改新」)
朝鮮の任那滅亡後の百済、新羅、高句麗と唐の関係、それに影響された日本の立場などが描かれている。その後新羅・唐連合に滅ばされた高句麗の地域、その北の地域に起こった渤海国の歴史などに触れている。渤海国とは日本は盛んに交流していたようだが、歴史遺物が少ないのと、北朝鮮、ソ連に立ち入って研究がなかなか進まないという事情からよく分かっていない。学問的には面白い領域ではないでしょうか?
著者は現在横浜市歴史博物館館長を務められている。先日あるシンポジウムで講演を聴く機会があったので、この本を読んでみた。横浜市の図書館には1冊しか置いてない本です。
【著者紹介】
鈴木靖民 : 1941年北海道に生まれる。1969年国学院大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、国学院大学文学部教授・横浜市歴史博物館館長、文学博士